top of page

 

 

桐田蕗村の歌 『閑雲』『野鶴』より

 

 

ほろほろと忘れな草の花が散る紅茶を運ぶ君にそゆれて


遠やりし里子と思へと妻にとく秋のながよも更けにけるかも

  (四男を亡くした時妻への歌)


方一尺の白木の箱にきみいりて土佐の海路をゆくかはるけく


けふよりは閑雲野鶴さはあれどわれに耕す田も畑もなし


椎の木に椎の実なれりころころとうれてこぼれて世ながらのこと


さらさらと草のよれゆく風にそひ一人の道は思ひにあまる


澄み透る水の姿となりたればひびきて白し秋渡る風


木の実落つこの静寂をまた追うてほろりと一つまた木の実落つ

『野鶴』昭和27年刊行

『閑雲』昭和33年刊行

〈担当 山口〉
 





bottom of page